雪、そして雪
2023/2/22
2023/2/22
よく雪が降るらしい、西粟倉村に住んで、2年ほど経とうとしている。
去年の冬、それなりに雪が降った。
『今年はよく降ったわー。』と、地元の人が言っていた。
そうか、この程度の雪かと、ちょっとガッカリしていた。
今年も雪が降り始めた。
まぁ、ちょっと積もって、1週間もすればほぼ溶けているだろうと、安気に構えていた。
雪は降りやむ気配がなく、数日降り続けた。
気付けば積雪は1メートルを越え、気温も-15度を下回った。
除雪車が通ってくれるも、間に合わない道もあり、
軽四にスタッドレスを履かせているくらいでは足を取られて運転が危ないほど。
ご近所さんがスリップして事故ったり、除雪車まで脱輪して動けなくなるほど。
妻が仕事を休めないので、四駆に乗っているご近所さんに送ってもらった。
早朝出発しなくてはならない専門学校の講義は、休ませてもらった。
必ずしもお会いする必要が無い住宅の打合せは、リモートにしてもらった。
隣り町のコンビニからパンが消え、小さなスーパーは食品が品薄になった。
屋根に積もった雪が落ち、地震か!?と思うような『ドスン!』という音と共に家が揺れ、
物干し竿が折れ、瓦が割れ、雪掻きしすぎて体は筋肉痛になった。
だけど、自分の仕事は捗った。
移動時間が無くなり、その時間をしっかり、仕事の時間に回せた。
子供たちも小学校が休校になり、かまくらを作っていた。
その中に椅子を持ち込み、ランプを持ち込み、温かいスープを飲んでいる。
その姿を見て、こちらの心も温まった。
これを綴っている今も、窓の外は当然のように雪景色だ。
明けない夜は無いし、止まない雨も無いように、
この雪だっていつまでも降り続きはしないと分かってはいるが、
それでも今回の雪はちょっと怖かった。
最初は単純にキレイだし、心弾むもので、
積もった後も、犬は喜ぶし、雪合戦、雪だるま、かまくら、色々と楽しめる。
県南から移住した我々は、特に珍しく、テンションも上がるものだ。
だけど同時に、足止めを食らったり、滑って転んでケガをしたり、家まで壊れる。
ウキウキした気分の時、同時に裏でよろしくない事が進行していたり、
最悪だと思うような時でも、良い事が起こる前兆だったり、
まるで人生の縮図のようではないか。
あと少しでこの村を離れることになってしまったが、
濃い時間から得た事は、経験したことは、本当に測り知れないものがある。
雪国での生活ができるなんて、とても幸せだった。
また温かい場所に移動する事になったが、
この先どんなに辛いことがあっても、心の温かさだけは大切にしたいと思うのだ。
かまくらの中に灯る、ランプの灯りのように。
それは僅かな明りでも、暗闇の中では十分に辺りを照らしてくれるはず。