運動会
2023/5/31
2023/5/31
新しい街に来て、子供にとって初めての運動会があった。
街といっても、山を切り開いて作られた、それほど大きくない団地だ。
自分は子供の頃から知っていて、
まさかこの団地に、妻と子供と犬で、こうして居を構えるなんて想像もしていなかった。
とにかくこの日は運動会があって、次男坊の雄姿を見に行った。
あれ?それほど大人数ではないな、と感じたのもそのはず。
前の村では、幼稚園から中学生まで集まっていたので、
その親とか家族を含めると、むしろ村の方が盛大な印象だった。
小学校の頃の同級生には会うだろうか?
ドキドキワクワクしていたけど、終わり頃に3人ほどに出会えた。
お互い老けたな、太ったな、変わらんね、とか言いながら、
なんかちょっと、不思議な感じがした。
中学卒業で別れて、30年近く経って、それぞれ子供の運動会を見に来ているのだ。
その間には、色んなドラマがあっただろうに、
それをすっとばして、『久しぶり~、老けたね~。』とか談笑しているのだ。
視線の先には、それぞれの子供達が元気に走ったり、踊ったりしている。
我々親は、彼ら、彼女らを育てるために日々過ごしていて、
今日はその、節目なのだ。
うちの次男坊が、こんなにソーラン節を踊れるなんて知らなかった。
あ、走るのは遅い方か。
みんなの中で両親に出くわすと、照れたりするんだな。
お、顔が真っ赤になって、かなりバテてる感じだけど、ちゃんとお茶飲んでるかな?
クラスの中で1、2を争うほど背が小さく、1、2を争うほど色白で、
そのくせ、授業中はうざいほどに手を挙げて発表するらしい。
(先生は『うざい』とは言っていません!)
親たちはそれぞれ、色んな事を考えながら、自分の子を見ているんだろうな。
子供の数以上に親がいて、多かれ少なかれ、色んなカタチでみんな、愛されているんだろうな。
子供を欲しがらない大人がいて、授からない大人がいる。
我々夫婦は、子供を欲しがって、授かった。
友人もおそらく、そうなのだろうと思う。
年を重ねたせいか、子供がみんな、未来にしか見えない。
運動会が、とても平和で、健全なものにしか見えない。
走るのが速いだけでモテる時代は終わったのか知らないが、
やはりリレーは面白かった。
うちの次男坊は1人に抜かれて、2人目にギリギリ抜かされず、バトンを繋いだ。
抜いた子は褒められ、抜けなかった子は悔しがり、
うちの子は案外、ケロっとしている。のかも知れないが、全ては想像だ。
健全な運動会は午前中には終わり、
抜かれたはずの次男坊は、ご褒美にラーメンを食べた。
我々夫婦は子供にバトンを繋ぎ、
子供たちは、どんなカタチであれ、また次の世代にバトンを繋ぐのだろう。
我々のように、直接バトンを繋ぐだけが方法ではないかも知れないが、
この子たちが間違いなく、次の時代を担ってゆくのだ。
親たちはそれまで、せっせと働き、家事をするのだ。
未来たちには、新しい時代を見せてもらいたい。
新しいバトンの繋ぎ方を示してくれる日が、今から楽しみなのだ。